当記事ではFnaticGear(フナティックギア)のゲーミングマウス「BOLT」をレビューしていきます。
提供:株式会社アスク
特徴
- 左右対称デザイン
- ブラックは67g、ホワイトは69gと程よい軽量ボディ
- 19000dpiまでの解像度調整が可能
- 軽量かつ高耐久のKailh GM8.0スイッチを搭載
- 0.8/1.0mm厚の100%PTFEマウスソールを選択可能
- 2.4GHz無線・Bluetooth接続に対応
- バッテリー寿命は2.4GHで最大110時間、Bluetoothで最大210時間
性能(スペック)
本体 | ボタン類 | 6ボタン(左右クリックボタン、左サイド×2、ホイールボタン、ホイール下×1)+電源スイッチ |
---|---|---|
長さ | 120.89mm | |
幅 | 55.44mm | |
高さ | 38.50mm | |
重量 | ブラック:67g、ホワイト:69g | |
ケーブル | タイプ | USB-C充電ケーブル |
ケーブル長 | 1.8m | |
センサー | センサー名 | PixArt PAW3370 |
DPI | 19000 | |
ポーリングレート | 125/250/500/1000 | |
最大認識速度(IPS) | 400 | |
最大加速度(G) | 50 | |
スイッチ類 | 左右クリック | Kailh GM8.0 |
ホイール | – | |
バッテリー | 寿命 | 2.4GH:110時間、Bluetooth:210時間 |
充電時間 | – | |
ソフトウェア | Fnatic OP |
パッケージ内容
梱包状態
内容物
マウス本体、USB-C充電ケーブル、ワイヤレスレシーバー、ワイヤレスアダプター、1.0mm厚PTFEソール、クイックスタートガイド。
形状・仕様
形状
「BOLT」の形状は右手用の左右対称形状です。どちらかといえば両サイドの前後の幅で大きな差がある「XM1」系ではなく、前後の差が少ない「Razer Viper」系統の形状です。
「BOLT」の形状はあまり過去に見ない形状ですが、イメージ的には「Razer Viper」と「Logicool GPRO SUPERLIGHT」を合わせた形状と言った印象です。
「Viper」ほどのサイドの窪みは無く「SUPERLIGHT」ほどフラッドではないといった窪みで、適度に指の位置が決まり程よく後部に引き付けやすい形状と言った印象です。そのため指の位置などのある程度自由度がありますが、しっかり位置を決めたい人にとってはやや物足りなさを感じるかもしれません。
下部から上部への返しも「Viper」と「SUPERLIGHT」のちょうど中間といった感じで、僅かに下部から上部への返しが有るといった感じです。個人的にはこの返しが少し物足りなく感じ、持ち上げにくさを感じました。もう少し返しの角度がある方がよさそうです。
上面の形状は山が後部側に寄っているタイプ。高さとしては「Viper」より少し高い程度です。そのため高さとしてはそこまで高くないですが後部がしっかり盛り上がっているので、手のひら後部にしっかりフィットします。「Viper」や「SUPERLIGHT」よりもしっかりとしたフィット感です。ただ「XM1」系ほど強力なフィット感ではないといった感じです。
クリック部分の高さは結構低めです。「XM1」系や「Ninjutso Sora」などと同じかなり低めのデザインがされているタイプです。
サイズ感的には「Viper」と「Viper Mini」の中間といった感じ。
表面加工(質感)
表面の質感はザラザラしているタイプ。
このタイプは汚れが目立ちにくく溶けにくい印象ですが、その分滑りやすくグリップ性が少し弱いです。
そのため指の部分や手のひら後部が結構滑りやすく、少し安定性に悪影響を与えているように感じられます。
そこまで大きな問題にはならないレベルですが、しっかり固定したい場合はグリップテープを使うなどの対応が必要かと思います。
ソール
ソールは白い100%PTFE製の小さめなソール。上部と下部に細長いソールが張られています。
エッジはしっかり丸められており、強くマウスを押し込んでも引っかかるような感触は一切ありませんでした。表面も変に突出している部分等が無く、どのような表面のマウスパッドでもかなり滑らかな滑り心地でした。全体的に処理が綺麗でマウスパッドの相性問題は無さでそうです。
ただ1つ気になった点としては前部と後部で滑りの差が感じられる点です。前部のほうが滑りが悪く、前部が少し遅れてくる感覚があります。ソールの質感というよりは、ソールの形状的な問題かと思うので別のソールに張り替えても変わらないのではないかと思います。
滑りやすさとしては結構コントロール寄りと感じます。滑りやすくしたい場合は貼り替えが必要です。
重量(軽さ)
実測重量としては68.6gと最近のゲーミングマウスの中では程よく軽い重量になっています。
前後の重心バランスとしてはサイドの一番窪んでいる位置といった具合で、少しだけ前方に寄ったバランスに感じられます。サイドの一番窪んでいる位置で保持すればバランスよく保持できます。
ケーブル
布タイプのUSB Type-C充電ケーブルとなっています。
ワイヤレスマウスなのでメインは充電用になるかと思いますが、有線としても十分使用可能です。
中サイズの太さでやや芯を感じるケーブルですが、有線としても十分使えるレベルかと思います。
ワイヤレスレシーバー、アダプター
レシーバーはワイヤレスマウスによく見る小さめのレシーバーです。
レシーバーはPCに直接接続しても使えますが、アダプターとケーブルを使ってマウスの近くに置いたほうが通信が安定します。
バッテリー
バッテリー寿命は2.4GHで最大110時間、Bluetoothで最大210時間と最近のゲーミングマウスの中では結構長めです。
充電はケーブルとマウスをつなげることで可能です。
ボタン類について
左右クリックボタン
クリックボタンの形状は左右どちらも前方~後方まで僅かに凹状ですが、ほぼフラットな形状。指の位置を自由に選びやすいですが、その分位置をしっかり決めたいという人にとっては指が落ち着かないかもしれません。
表面の質感は他の部分と同じザラザラとした質感をしています。
クリック感としては押下圧が結構重めで、浅めといった感じ。クリック時には程よいタクタイル感があります。押しやすさよりも誤クリックを少なさを重視したクリック感と言った印象です。
クリック音はうるさくないですが左右で音の違いがあり、左は低めで右は高めでした。(※個体差という可能性もあります)
サイドボタン
サイドボタンの形状は細長タイプで、指が触れる部分は平らになっています。突出もしっかりあり、親指をずらすだけで押すことが出来ます。
位置的にはサイドの一番窪んでいる位置にあり、高さも程よくあるため指が干渉してしまうことはありません。
クリック感としては結構重めで、しっかりと押し込む必要があるといった印象です。
スクロールホイール
スクロールホイールには滑り止めラバーが巻かれており、ラバーには切り込みが入っており指が引っかかりやすくなっています。
ラバーの質感としてはしっとりめの質感で埃等は付きやすそうではありますが、その分グリップはしっかりとしています。
スクロールホイールの重さは標準~やや重めといった感じ。少し強めのコリコリ感で、スクロール時の音もやや大きめに感じられます。
ホイールボタンの押下圧もやや重め。しっかり押し込むようにしないと押下されない感じです。
ホイール下
ホイール下にはボタンが1つ備わっています。デフォルトではプリセット切替ボタンとなります。
初期のプリセットはDPIの違いしかないため初期設定では実質DPI切替ボタンとして使えますが、プリセットをそれぞれ設定している場合はプリセットごと変わるので注意。
デフォルトのDPI値は400/800/1200/1600。
底面ボタン
底面には電源スイッチが備わっています。
電源オフ/2.4GHzワイヤレス/Bluetoothの切り替えが出来ます。
ソフトウェア(Fnatic OP)
パフォーマンス
CPI(DPI)
マウス感度(DPI)を調整する項目。200~19000DPIの範囲を100刻みで設定することができます。
DPIステージはありませんがプリセットを分けることで複数DPIを用意しているようです。プリセットは4つまで設定でき、ホイール下のボタンを押すことでプリセットを切り替えることが出来ます。
デフォルトのDPI値は400/800/1200/1600。
またDPIはX軸とY軸で別々に調整することも可能です。
直線補正
カーソル移動の際に上下左右の直線的な移動をするとき僅かなブレを補正してくれるという機能です。
FPSの場合、AIMの水平移動時に僅かに上下に操作したいというときに補正がかかり水平になってしまったり、リコイル制御が上手くいかなかったりするのでOFF推奨。
リフトオフディスタンス
リフトオフディスタンス(LoD)とはマウスを持ち上げたときにセンサーが感知する距離のことです。
このリフトオフディスタンスが長すぎると、マウスの持ち上げ動作時にセンサーが反応しなくていいタイミングで反応してしまいAIMがぶれてしまいます。
逆に短すぎるとマウスの持ち上げ動作からマウスパッドに置くと同時に視点移動をしようとするとセンサーの反応が遅れてしまい、マウスを動かしているのに視点が動かないタイミングがでてきます。
リフトオフディスタンスはミディアム(1mm)/ハイ(2mm)から選択できます。
実測のLoDとおすすめ設定は下のほうで解説します。
ポーリングレート
1秒間にマウスの操作情報を送信する回数のことで、カーソルの滑らかさに影響します。
ポーリングレートは125/250/500/1000の中から選択可能。
数値が高いほうがカーソルが滑らかに動くので、特にこだわりがないのであれば1000Hzがおすすめです。
DEBOUNCE
デバウンスタイムとはクリック時の金属接触により発生するチャタリングを防ぐための待ち時間のようです。
このデバウンスタイムを短くすることで応答速度を速めることが出来ますが、その分チャタリングが起きやすくなります。
デバウンスタイムの設定は1~12msの間で設定できます。
デバウンスタイムによる反応速度の差やゲームでの使用感は下のほうで確認します。
SLEEP
スリープモードに移行するまでの時間。
1~5分から設定でき、OFFにはできません。
ライト
ホイール部分のライティングのエフェクト/明るさなどの設定。
キーバインド
キーの割当が出来ます。
キー設定は上下スクロールとホイール下ボタン以外の変更が可能です。
ゲームでの使用感
次はゲームでの使用感を確認します。
※私の手のサイズは中指の先端から手首までで約18cmと標準的サイズです。手のサイズによっても使用感に違いが出るので、その点はご了承いただければと思います。
かぶせ持ちでの使用感
かぶせ持ちとの相性はあまりよくないように感じました。
かぶせ持ちの形で保持することは出来ますが、手のひらとの接地部分が少なくほとんど指で保持する形になります。深く保持すれば手のひら後部を接地させることは出来ますが、ほぼつかみ持ちの形になります。
また右サイドの膨らみが小指と薬指の付け根に強く当たり、窮屈感が感じられました。
浅く持てば指だけで保持することになるので違和感はなくなりますがそれではもはやかぶせ持ちではないので、かぶせ持ちで使うメリットはありません。
つかみ持ちでの使用感
つかみ持ちとの相性はいいです。
指の置き場所を選ばないので調整しやすく、手のひら後部側に程よく引き付けやすいです。後部の高さもしっかりあるので手のひら後部のフィット感もよく、そこそこ安定したつかみ持ちが出来ます。
ただつかみ持ちに特化したマウスに比べると安定感はやや物足りなく感じます。「XM1系」や「Ninjutso Sora」などつかみ持ちに特化した形状だと、指で後部に引き付けなくてもしっかり手のひら後部に固定され、かなり安定したグリップが出来ます。それらと比べるとどうしても指で後部側に引き付ける様に保持しないと安定しない印象でした。
また「BOLT」はサイド前方の幅が広めなので少し指での操作がしにくいように感じられました。基本問題ないレベルですがここを広くするメリットはあまりないように感じられます。
それと表面の質感が滑りやすいタイプで指と手のひら後部が滑りやすく、その点も安定性に悪影響を与えているようにも感じられました。
つかみ持ちとしての不満点はそこまで無いですが、特化型と比べると劣るといった感じです。
つまみ持ちでの使用感
つまみ持ちとの相性はいいです。
サイドの形状は大きな膨らんでいる部分が無いため指の窮屈感が少なく、指の場所も選びやすく保持しやすいです。
比較的小型という点もつまみ持ちと合っていて、指で大きな操作をしてもマウスが手のひらに干渉しにくいです。
ちょっとした不満点としては、サイドの下部から上部への返しが浅い点と滑りやすい表面という点です。
サイドの下部から上部への返しが浅いため指との引っかかりが弱く、持ち上げ動作が少ししにくいように感じました。それに合わせて表面が少し滑りやすい質感なため指のグリップが弱く、持ち上げた時に滑りやすいように感じられました。
つまみ持ちとしては完璧とまでは言えないですが、基本問題なく扱えるレベルです。
補足
DEBOUNCE
デバウンスタイムは1~12msから選択できるので、1msと12msで確認してみました。
すると何となくですが1msのほうがカーソルの動き出しが速く、スムーズに敵を追えていたように感じられました。たまたまという可能性もあるので何とも言えないですが、基本遅延は少ないほうが良いので短めに設定しておいた方が良さそうです。
リフトオフディスタンス(LoD)
- 検証用マウスパッド:SteelSeries QcK+
LoDは短すぎたり長すぎたりすると操作感に違和感が出てくることがあります。個人的な体感としては0.3~1.6mmの範囲であれば違和感無く操作できる印象でした。
「FnaticGear BOLT」はLoDをミディアム(1mm)/ハイ(2mm)から選択することが出来るのでそれぞれ計測します。
ミディアム(1mm) | 0.5mm |
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ハイ(2mm) | 1.1mm |
1mm、2mmともに問題ない長さで、どちらでもFPSゲームで使用することが出来ます。
どちらかといえば短めのほうが不自然な反応をしないので、1mmがおすすめです。
もし1mmでマウスパッドのたわみ程度の隙間で反応しない場面が出るようであれば、2mmにすると良いと思います。
カーソル飛び
何種類かのマウスパッドでカーソル飛びを確認します。
ARTISAN FX 零 | 〇 |
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ARTISAN FX 飛燕 | 〇 |
ARTISAN FX 雷電 | 〇 |
ARTISAN FX 紫電改 | 〇 |
Pulsar Superglide Glass | 〇 |
マウスを激しく振ってもどのタイプのマウスパッドもカーソル飛びはありませんでした。
応答速度(反応速度)
次はクリック応答速度(反応速度)を計っていきます※純粋なマウスの応答速度を計っているわけではないので参考程度にお考え下さい。
測定には「反応速度測定-改」というゲームを使わせていただいています。
有線(1ms) | 無線(1ms) | 無線(12ms) | |
---|---|---|---|
最速 | 0.147 | 0.144 | 0.143 |
最遅 | 0.173 | 0.173 | 0.171 |
平均 | 0.16283 | 0.16121 | 0.1589 |
まず有線と無線では大きな違いは無く、どちらもかなり速く反応できていました。むしろ無線のほうがタイム的には速く、遅延等の心配はなさそうです。
またデバウンスタイムに関しては遅い設定にしたほうが速く反応できていました。たまたまという可能性もありますが、感覚としても遅い設定のほうが速く反応できていたように感じました。普通であれば結構明確にタイム差が出るので、何かバグ的なものなのではないかと思っています。
デバウンスタイムの設定がいくつであろうが速く反応できていたので、反応速度的にはどのような設定でもよさそうです。
まとめ
マウスの持ち方の相性としてはつかみ持ちとつまみ持ちとの相性が良く、どちらかに特化している形状という訳でもないためどちらでも程よく扱いやすいです。ただその分どの持ち方でもベストなグリップ感かと言われるとそうでもないというのが正直なところです。やはり現状ゲーミングマウスは選択肢がかなり豊富になってきているので、複数の持ち方に合わせて設計されたものは返って誰も選ばないマウスになってしまう印象があります。
とは言え現状Amazon価格で9000円ほどとワイヤレスマウスの中では結構安い部類なため、選択肢としては優先度は高めに入るマウスだったと思います。
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