当記事ではNinjutso(ニンジュツォ)のゲーミングマウス「Sora」をレビューしていきます。
特徴
- 中型サイズのワイヤレスマウスながら、穴を空けずに45gと超軽量
- 背面のハンプ(凸部)、傾斜した側面、低いフロントボタンのデザインで、手のひらで背面を支え正確なクリックを必要とする人のために最適化されている
- ハイブリッドソール設計により、小さいソールと大きいソールに対応
- 周波数ホッピング技術により、ラグや遅延がゼロ
- 最大バッテリー寿命70時間
性能(スペック)
本体 | ボタン類 | 6ボタン(左右クリックボタン、左サイド×2、ホイールボタン、底面×1)+電源スイッチ |
---|---|---|
長さ | 120.8mm | |
幅 | 前部:60.5mm、中部:59.8mm、後部:64.5mm | |
高さ | 37.3mm | |
重量 | 45g±2g | |
ケーブル | タイプ | USB-C充電ケーブル |
ケーブル長 | 1.8m | |
センサー | センサー名 | PixArt PAW3395 |
DPI | 26000 | |
ポーリングレート | 125/500/1000 | |
最大認識速度(IPS) | 650 | |
最大加速度(G) | 50 | |
スイッチ類 | 左右クリック | Huano Pink Dot |
ホイール | TTC | |
バッテリー | 寿命 | 70時間 |
充電時間 | – | |
ソフトウェア | Ninjutso Sora |
パッケージ内容
梱包状態
内容物
マウス本体、USB-C充電ケーブル、ワイヤレスレシーバー、ワイヤレスアダプター、大型ソール、ユーザーガイド。
形状・仕様
形状
「Sora」の形状は一言で言うと、「ENDGAME GEAR XM1」を少し小さくしてマイルドにした形状と言った感じです。
「XM1」はサイドの形状が前方が細く後部が大きく膨らんだ洋梨のような形状をしており、上面は後部の高さが高く、かなりつかみ持ちに適した形状をしています。
「Sora」もそれらの系統と同じ形状をしており、つかみ持ちに特化した形状です。
「XM1」との違いとしては、サイドの中央の窪みからの後部への膨らみが「XM1」よりも小さい点、サイドの下部から上部への返しの深さが「XM1」よりも浅い点、上面後部の角度が「XM1」よりも低い点です。
サイドの中央の窪みからの後部への膨らみが「XM1」よりも小さいため、「XM1」よりも指の引っかかりが弱く後部へ引き付けにくいです。その分小指の窮屈感が少ないです。また後部へ引き付けにくいとは言っても「XM1」と比べるとというだけで、かなり引き付けやすいです。
サイドの下部から上部への返しの深さが「XM1」よりも浅いため、「XM1」よりも指でマウスを持ち上げるときに引っかかりが弱いです。その分指が下部へ滑りこむ感覚が少ないです。またマウスの持ち上げやすさとしても「XM1」に劣るというほどではないです。
上面後部の角度が「XM1」よりも低いため、「XM1」よりも手のひら後部のフィット感が弱いです。その分つかみ持ちで指で細かい操作をする際に、手のひら後部が干渉しにくいです。
あと細かい違いとしては少しクリック部分の高さが低く、サイズが少し小さいです。
「XM1」によく似ているのでつかみ持ちに特化した形状ですが、癖が強すぎると感じる人にとっても使いやすくされている印象です。
表面加工(質感)
表面の質感はサラサラとザラザラの中間のような質感をしています。
指や手のひらとのグリップ性は強く、滑りやすさは感じられません。個人的にはグリップテープを使わなくても安定したグリップが出来ると感じます。
長期利用していないので確認は出来ていませんが、表面の溶けやすさに対しても強そうな質感をしています。
ソール
「Sora」はハイブリッドソール設計により、小さいソールと大きいソールの両方に対応します。当初では小さいソールが張られており、付属として大きいソールが備わっています。
ソールはエッジがしっかり処理されていますが、中央部が凹んでいてその分周囲が盛り上がる形をしています。そのため硬い表面をしたマウスパッドだと引っかかる感覚が強く感じられます。予備の大きめなソールも周囲が若干盛り上がっています。操作性に影響するほどではないため問題は無いですが、擦れる感覚が嫌いな人は貼り替える必要がありそうです。
また小さめのソールの滑りやすさとしてはかなり滑りやすい部類で、大きめなソールはもちろん、小さめなソールと比べても滑りやすく感じられました。
なのでマウス操作時のフィーリングがマウスパッドに寄っては悪いものもあるかもしれませんが、操作性としてはとても良いです。
重量(軽さ)
実測重量としては47.7gと最近のゲーミングマウスの中でもかなり軽い部類のマウスです。「Sora」はサイズ的にも極小というわけではなく、穴も空けずにこの重量はなかなか出回っていないレベルです。
今回カラーはホワイトを選択したのでこの重量でしたが、ブラックはもう少し軽いかと思います。
重心バランスとしては一番窪んでいる部分を持って前後バランスが取れるといった具合で、若干ですが前方寄りに感じます。かぶせ持ち、つかみ持ち、つまみ持ちのどの持ち方をしても極端な偏りは感じません。
ケーブル
布タイプのUSB Type-C充電ケーブルとなっています。
かなり太めなサイズですが芯をほとんど感じさせない柔らかいケーブルで、有線としても十分使えるレベルかと思います。ただ少しだけ重いです。
ワイヤレスレシーバー、アダプター
レシーバーはワイヤレスマウスによく見る小さめのレシーバーです。
レシーバーはPCに直接接続しても使えますが、アダプターとケーブルを使ってマウスの近くに置いたほうが通信が安定します。
バッテリー
バッテリー寿命は最大70時間と最近のゲーミングマウスの中では標準的な長さです。70時間あれば基本困ることはないんじゃないかと思います。
充電はケーブルとマウスをつなげることで可能です。
ボタン類について
左右クリックボタン
クリックボタンの形状は左右どちらも前方~後方まで凸状です。指の位置を自由に選びやすいですが、その分位置をしっかり決めたいという人にとっては指が落ち着かないかもしれません。
表面の質感は他の部分と同じザラザラとした質感をしています。
クリック感としては押下圧が標準~やや重めで、深さは標準的といった具合です。クリック時には程よいタクタイル感があります。
クリック音は少し大きめで左右で音の違いがあり、左は低めで右は高めでした。(※個体差という可能性もあります)
サイドボタン
サイドボタンの形状は細長タイプで、指が触れる部分は丸められています。突出もしっかりあり、親指をずらすだけで押すことが出来ます。
位置的にはサイドの一番窪んでいる位置にあり、高さも程よくあるため指が干渉してしまうことはありません。
押下圧としては標準的。
スクロールホイール
スクロールホイールには滑り止めラバーが巻かれており、ラバーには切り込みが入っており指が引っかかりやすくなっています。
ラバーの質感としてはサラサラ寄りの質感でグリップはそこまで強くないですが、その分埃等は付きにくそうです。
スクロールホイールの重さは標準的といった感じ。結構しっかりめのコリコリ感で、スクロール時の音もやや大きめに感じられます。
ホイールボタンの押下圧はやや軽めで押し込みやすいです。
底面ボタン
底面にはDPIボタンと電源スイッチが備わっています。
デフォルトのDPI値は400/800/1600/3200。
電源スイッチは電源のON/OFFに切り替えが可能。
ソフトウェア(Ninjutso Sora)
Key Assignment
キーの割当が出来ます。
キー設定は上下スクロール以外のボタンは変更が可能です。
Macro Editor
マクロの作成、設定が出来ます。
Profile
全体設定のプロファイルを作成することが出来ます。
DPI Setting
マウス感度(DPI)を調整する項目。50~26000DPIの範囲を50刻みで設定することができます。
DPIステージは4つまで設定でき、DPIボタンを押すことで切り替えることが出来ます。
デフォルトのDPI値は400/800/1600/3200。
Polling rate
1秒間にマウスの操作情報を送信する回数のことで、カーソルの滑らかさや画面のブレに影響します。
ポーリングレートは125/500/1000の中から選択可能。
数値が高いほうがカーソルが滑らかに動くので、特にこだわりがないのであれば1000Hzがおすすめです。
Lift-off Distance
リフトオフディスタンス(LoD)とはマウスを持ち上げたときにセンサーが感知する距離のことです。
このリフトオフディスタンスが長すぎると、マウスの持ち上げ動作時にセンサーが反応しなくていいタイミングで反応してしまいAIMがぶれてしまいます。
逆に短すぎるとマウスの持ち上げ動作からマウスパッドに置くと同時に視点移動をしようとするとセンサーの反応が遅れてしまい、マウスを動かしているのに視点が動かないタイミングがでてきます。
リフトオフディスタンスは1mm/2mmから選択できます。
実測のLoDとおすすめ設定は下のほうで解説します。
Power Management
スリープモードに移行するまでの時間。
1~10分から設定でき、OFFにはできません。
Debounce Time
デバウンスタイムとはクリック時の金属接触により発生するチャタリングを防ぐための待ち時間のようです。
このデバウンスタイムを短くすることで応答速度を速めることが出来ますが、その分チャタリングが起きやすくなります。
デバウンスタイムの設定は0~16msの間で設定できます。
デバウンスタイムによる反応速度の差やゲームでの使用感は下のほうで確認します。
ゲームでの使用感
次はゲームでの使用感を確認します。
※私の手のサイズは中指の先端から手首までで約18cmと標準的サイズです。手のサイズによっても使用感に違いが出るので、その点はご了承いただければと思います。
かぶせ持ちでの使用感
かぶせ持ちとの相性はあまりよくないように感じました。
手のひらの接地面としては手のひら後部のみで、しっかり手のひらを接地させようとすると手のひらを押し付ける様に保持しないと自然なかぶせ持ちになりません。
またかぶせ持ちの形をすると右サイド後部の膨らみが薬指の付け根に強く当たり、収まりが悪いように感じられました。
かぶせ持ちの形で保持することは可能ですがほぼつかみ持ちになってしまうため、かぶせ持ちでわざわざこのマウスを選ぶメリットは無さそうです。
つかみ持ちでの使用感
つかみ持ちとの相性はとてもいいです。
つかみ持ちの形で保持するだけで自然と指、手のひら後部がしっかりフィットされます。無理に後部に引き付けようせずともしっかり固定されるので変に指に力が入らないため、安定したグリップと脱力した操作がしやすい印象でした。
つかみ持ちだとマウスが斜めに保持されることもありますが、このマウスは真っすぐ保持されるので違和感もありませんでした。
またつかみ持ち向けのこのサイズ感でこれほど軽量なマウスは触ったことが無かったため、とても軽く感じられました。軽いのでかなり素早く動かすことが出来、動かした後に引っ張られる感覚もかなり少ないです。マウスを動かしたときに抵抗が少ないため、感覚通りの操作が出来る印象です。
「XM1系」と比べると安定感が少し劣りますが、それでも他の左右対称マウスと比べるとかなり安定したグリップが出来ます。それに「XM1系」はサイドの下部から上部への返しの角度が深すぎて、指が下部へ滑る感覚が強いです。その点「Sora」はそのような感覚も無く、「XM1系」の良い所を程よく継承した感じになっています。
恐らくつかみ持ちユーザーにとってはかなり不満点の少ない形状かと思います。私はつかみ持ちが一番苦手な持ち方なのでかなりAIMのパフォーマンスが落ちてしまいますが、このマウスであればつかみ持ちでも問題なく扱えそうと感じるレベルでした。
つまみ持ちでの使用感
つまみ持ちとの相性はいいです。
つまみ持ちの形で保持することが出来ますが、両サイド後部の膨らみが大きすぎることで指で前方側に寄りがちになってしまいます。それとサイド後部の膨らみが大きいことで小指の窮屈感が結構強い点も収まりの悪さに繋がっていたように感じました。
またつかみ持ちでは問題ありませんでしたが、つまみ持ちの場合サイドの下部から上部への返しの角度が深すぎて下部へ指が滑り感覚が強く感じられました。持ち上げやすいですがここまで深い必要はないかと感じました。
かなり軽量なので問題なく使うことが出来ますが、つまみ持ちにとってはベストな形状とは言えない印象でした。
補足
DEBOUNCE
デバウンスタイムは0~16msから選択できるので、0msと16msで確認してみました。
0msと16msだと体感できるほど明確な差があり、16msではしっかり遅延を感じました。クリック時の射撃ではあまり感じませんが、左右切り返しでかなり遅れてくる感覚がありました。
当然遅延は少ないほうが良いのでFPSでは0msが最適です。0msでもチャタリング等は一切発生しませんでした。
リフトオフディスタンス(LoD)
- 検証用マウスパッド:SteelSeries QcK+
LoDは短すぎたり長すぎたりすると操作感に違和感が出てくることがあります。個人的な体感としては0.3~1.6mmの範囲であれば違和感無く操作できる印象でした。
「Sora」はLoDを1mm/2mmから選択することが出来るのでそれぞれ計測します。
1mm | 0.6mm |
---|---|
2mm | 1.3mm |
1mm、2mmともに問題ない長さで、どちらでもFPSゲームで使用することが出来ます。
どちらかといえば短めのほうが不自然な反応をしないので、1mmがおすすめです。
もし1mmでマウスパッドのたわみ程度の隙間で反応しない場面が出るようであれば、2mmにすると良いと思います。
カーソル飛び
何種類かのマウスパッドでカーソル飛びを確認します。
ARTISAN FX 零 | 〇 |
---|---|
ARTISAN FX 飛燕 | 〇 |
ARTISAN FX 雷電 | 〇 |
ARTISAN FX 紫電改 | 〇 |
Pulsar Superglide Glass | 〇 |
マウスを激しく振ってもどのタイプのマウスパッドもカーソル飛びはありませんでした。
応答速度(反応速度)
次はクリック応答速度(反応速度)を計っていきます※純粋なマウスの応答速度を計っているわけではないので参考程度にお考え下さい。
測定には「反応速度測定-改」というゲームを使わせていただいています。
有線(0ms) | 無線(0ms) | 無線(16ms) | |
---|---|---|---|
最速 | 0.142 | 0.13 | 0.154 |
最遅 | 0.167 | 0.159 | 0.27 |
平均 | 0.154 | 0.15048 | 0.16666 |
まず有線と無線では大きな違いは無く、どちらもかなり速く反応できていました。むしろ無線のほうがタイム的には速く、遅延等の心配はなさそうです。
デバウンスタイムに関しては設定した時間分しっかり遅延が入るので、反応速度を求められるゲーム等では出来るだけ短い設定しておいた方が良さそうです。ポーリングレートもある程度応答速度に影響するので出来るだけ高い設定にしておいたほうが良いです。
「Ninjutso Sora」の不具合(バグ)について
「Ninjutso Sora」は無線接続の場合、クリック遅延やクリックされない不具合が発生します。有線の場合、このような不具合は発生しません。※個体差がある可能性もあり
デバウンスタイム0~16ms、ポーリングレート125~1000Hz、ソフトウェア有無など、様々な条件で確認しましたがこのような不具合は見られました。
このような不具合はファームウェアアップデートを行うことでほぼ無くなります。しかしそれでも極稀に遅延やクリックされないことがあります。たまになのでまぁ許容範囲かなとは思います・・・。
『追記』
私はふもっふのお店で購入したのですが、この件を連絡したところ発生頻度の少ないものと交換してもらえました。(発生しなくはない・・・)
ふもっふのお店さんの方でも確認してもらったところ、同じ現象が確認できていたようなのでマウスの仕様なのかもしれません。なので交換しても無くならない可能性はありますが、あまりにも発生頻度が高い場合は交換してもらうといいかも。(※ただふもっふのお店での購入の場合、7日以降の返送料は自腹)
まとめ
つかみ持ちに特化した形状で、恐らくつかみ持ちユーザーにとってはかなり不満点の少ないマウスになっていると思います。つかみ持ちを苦手とする私でもそこそこ扱えるくらいには優れています。
「XM1系」が”少し大きすぎる”、”サイド後部の膨らみが大きすぎる””サイドの下部から上部への返しが深すぎる”と感じる人にとってはそれらの不満点を解消できるマウスです。
しかしその分他の持ち方にはあまり適していません。とは言え複数の持ち方に合わせた形状にすると無難なフィット感になってしまうため、現状数多の選択肢があるゲーミングマウスにおいては返って誰にも選ばれないものになってしまう原因になると思うのでこれでいいと思います。
現状このサイズ感のつかみ持ち特化のマウスに「Sora」ほど軽量なものは中々無いと思うので、つかみ持ちユーザーにとってはかなり優秀なゲーミングマウスかと思います。価格が高すぎない点もかなり評価が高いです。
懸念点としてはクリック遅延やクリックされないといった不具合がある点ですが、ファームウェアアップデートをすればゲーム中では全く気にならない程度にはなるので、とりあえずは許容範囲かと思います。
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