当記事ではRazer(レーザー・レイザー)のゲーミングマウス「Viper V3 Pro」をレビューしていきます。
提供:MSY株式会社
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特徴
- V2から形状を一新
- V2のザラザラ面から滑らかなコーティングへ変更
- V2の小さなマウスソールから大きいマウスソールに変更
- 8000Hzワイヤレスポーリングレートに対応
- 古いマウスの感度を、新しいViper V3 Proに正確にマッチさせることができる「DPI Sensitivity Matcher機能」を搭載
- DPIを1単位で設定できる「1DPI Adjustment機能」を搭載
性能(スペック)
接続方法 | 有線、無線(2.4GHz) | |
---|---|---|
本体 | ボタン類 | ボタン(左右クリックボタン、左サイド×2、ホイールボタン、 DPIボタン[底面]×1、ポーリングレートボタン[底面]×1) + 電源スイッチ |
長さ | 124mm | |
幅 | 58~65mm | |
高さ | 32~38mm | |
重量 | 54~55g | |
ケーブル | タイプ | 充電ケーブル(USB-A to USB Type-C) |
ケーブル長 | 1.8m | |
センサー | センサー名 | Focus Pro 30K オプティカルセンサー |
DPI | 30,000 | |
ポーリングレート | 125/500/1000/2000/4000 | |
最大認識速度(IPS) | 750 | |
最大加速度(G) | 70 | |
スイッチ類 | 左右クリック | 第3世代オプティカル(耐9000万クリック) |
ミドルマウスボタン | – | |
サイドボタン | – | |
ホイールエンコーダー | – | |
バッテリー | 寿命 | 最大70時間 |
充電時間 | – | |
ソフトウェア | Razer Synapse |
パッケージ内容
梱包状態
内容物
マウス本体、USB Type-C 充電ケーブル、HyperPollingワイヤレスドングル、グリップテープ、ステッカー、取扱説明書。
仕様
形状
「Viper V3 Pro」はV2までの形状から一新され、新しいViperシリーズとなっています。
左右対称なのは同じですが、両サイドの窪みと上面から後部までの高さが主に変更されています。
両サイドは以前よりも窪みが浅くなり、中部の窪みから後部のふくらみの差が少なくなっています。そのためクセの少ないグリップ感で様々な握り方に対応しやすくなっていますが、指の場所が決まりにくくつかみ持ちでの引き付けやすさと言う部分は弱くなっている印象を受けます。また窪みが浅くなっている分、指で握る部分の幅が広くなっているため、V2以前と比べるとやや大きめに感じやすくなっています。
V2以前は左右対称マウスの中でも比較的平べったい形状をしていましたが、V3からは上面から後部までの高さが高くなっており平べったいという感じは無く、手のひら後部に接地しやすい形状になっています。この点はつかみ持ちとしては手のひら後部とのフィット感が増すためメリットになることが多いかと思いますが、つまみ持ちとしては高さが高いことにメリットは一切ないため単純なデメリットになるかと思います。
V2以前と比べると形状やサイズ感にかなり違いが感じられるため、V2以前のマウスから買い替えを考えている人は注意が必要です。
持ち方別の使用感の詳細は下のほうで説明します。
表面加工(質感)
表面の質感もV2からの大きな違いの1つで、V2はザラザラとした表面でしたが、「Viper V3 Pro」は「GPro」や「Benqマウス」などに似たサラサラとした表面になっています。触り心地がよく高級感がある表面加工で、グリップ性としても僅かに向上しているように感じられます。
ソール
ソールの形状もV2から大きく変化しており、かなり大型なソールになりました。
大型のソールになることで沈み込みに寄る速度変化が少なくなると思います。その分単純な滑りやすさとしては重くなるのではないかと思っていましたが思ったよりもそんなことはなく、V2よりもしっかり滑ると感じられました。
センサー位置
センサー位置の違いは無く、左右は中央の位置、前後は概ね前方寄りにあります。
重量(軽さ)
一番気になる重量の部分ですが、実測重量は55.2g(ホワイト)とV2が約58gだったので大きなアップグレードとはならず、やや残念に感じられる人も多いかと思います。とはいえ十分軽量です。
重量バランスとしてはやや前方寄りで、両サイドの一番窪んでいる位置を持って前後のバランスが取れるといった感じです。V2と概ね同じ重量バランスかと思います。
ケーブル
ケーブルは着脱可能なUSB Type-Cの布巻きケーブルとなっています。
ワイヤレスマウスなので基本は充電用になるかと思いますが、充電しながら有線として使うことも出来ます。やや固めのケーブルなので、あくまで充電用と言った印象。
HyperPollingワイヤレスドングル
8000Hzワイヤレスポーリングレートに対応したワイヤレスドングル。
充電ケーブルと接続して使用します。
ボタン類
左右クリックボタン
クリックボタンの形状は細かい部分で調整されており、V2のクリックボタンよりも溝が僅かに深いため指がしっかりはまり、クリックボタンのサイドは薬指を挟み込まないように僅かに段差がついています。
クリック感としては少しグニグニとしたようなクリック感。押下圧とストロークともに標準的といった感じ。しっかりとしたタクタイル感がありますがV2よりは弱めで、クリック時に心地よいフィードバックが得られます。
クリック音はやや鈍いコチコチといったような音で、クリック音の大きさはうるさすぎず静かすぎず普通といった感じ。音の左右差は少しあります。
サイドボタン
サイドボタンの形状は細い横長タイプで、指が触れる部分は平らになっています。「Viper V3 Pro」では前方と後方のボタンの間隔が広めにとられており、誤クリックしにくくなっています。
位置的には概ね左サイドの一番窪んでいる位置にあります。
スクロールホイール
スクロールホイールには凹凸のある滑り止めラバーが巻かれており、指がグリップされやすくなっています。
スクロールの重さは標準的で、コリコリ感が僅かに増しています。ホイールボタンの押下圧はやや重めといった感じです。
その他のボタン
底面には左側に電源/DPIボタンが備わっています。
ソフトウェア(Razer Synapse)
カスタマイズ
各ボタンは割り当て変更が可能です。また左クリックは必ずどこかのボタンに割り当てられている必要があります。
パフォーマンス
感度
マウス感度(DPI)を調整する項目。「Viper V3 Pro」では「1DPI Adjustment機能」により、100~35000DPIの範囲を1刻みで設定することができます。デフォルトでは400/800/1600/3200/6400です。
またDPIは水平、垂直方向を別々に設定することもできます。
感度ステージは5段階まで設定でき、DPI切替ボタンで切り替えることができます。
ポーリングレート
1秒間にマウスの操作情報を送信する回数のことで、カーソルの滑らかさや画面のブレに影響します。
「Viper V3 Pro」ではポーリングレートが8000Hzまで対応しており、125/500/1000/2000/4000/8000の中から選択可能。
数値が高いほうがカーソルと画面が滑らかに動くので、基本的には高い数値に設定しておいた方がFPSゲーム的には有利に働きます。しかしゲームによって対応している最大ポーリングレートが異なり、その最大ポーリングレートを超えるポーリングレートに設定するとカーソルが飛んだりセンサー挙動が不安定になる原因になるため注意が必要です。
感度マッチャー
感度マッチャーとは別のマウスと「Viper V3 Pro」のDPIをマッチさせることができる機能で、V2までは無かった新しい機能となっています。
パワー
ワイヤレスパワーセーブ
スリープモードにするまでのアイドル時間(分)。1~15分。
低電力モード
ワイヤレス時に低電力モードに切り替えるバッテリーレベル(%)。0~100%。
較正
較正ではマウスパッドやLoD関連の設定が出来ます。
スマートトラッキング
表面に合わせて自動的にLoDを調整してくれる機能。
トラッキングディスタンスは低い/ミディアム/高の3つから選択できます。
非対称カットオフの有効化にチェックを入れるとリフトオフディスタンスとは別にランディングディスタンスを調整することができます。リフトオフディスタンスとはマウスを持ち上げたときにセンサーが反応する距離のこと、ランディングディスタンスとはマウスがトラッキングを再開する距離のことです。
実測LoDやおすすめの設定は下のほうで解説します。
リフトオフディスタンス(LoD)
- 検証用マウスパッド:SteelSeries QcK+
LoDは短すぎたり長すぎたりすると操作感に違和感が出てくることがあります。個人的な体感としては0.3~1.6mmの範囲であれば違和感無く操作できる印象です。
「Razer Viper V3 Pro」はLoDをLoDを低/中/高の3つから選択できるのでそれぞれ測定します。
測定結果
低LoD | 0.5mm |
---|---|
中LoD | 0.7mm |
高LoD | 1.2mm |
基本的にはどの設定でも問題ない長さで、FPSゲームでも使えると思います。
FPSゲームでは短めのほうが違和感が少ないので、低か中設定がおすすめです。ただ低だとマウスを持ち上げた時にセンサーの反動が切れるタイミングが早く感じることもあるため、そういう場合は中にすると良いかと思います。
カーソル飛び
何種類かのマウスパッドでカーソル飛びを確認します。
確認結果
ARTISAN FX 零 | 〇 |
---|---|
ARTISAN FX 飛燕 | 〇 |
ARTISAN FX 雷電 | 〇 |
ARTISAN FX 紫電改 | 〇 |
SkyPAD Glass 3.0 XL | 〇 |
マウスを激しく振ってもどのタイプのマウスパッドもカーソル飛びはありませんでした。
クリック反応速度
次はクリック反応速度を計っていきます※純粋なマウスの応答速度を計っているわけではないので参考程度にお考え下さい。
測定には「反応速度測定-改」というゲームを使わせていただいています。
測定結果
125Hz | 1000Hz | 4000Hz | 8000Hz | |
---|---|---|---|---|
最速 | 0.146 | 0.142 | 0.144 | 0.145 |
最遅 | 0.157 | 0.157 | 0.158 | 0.155 |
平均 | 0.1522 | 0.1512 | 0.1505 | 0.1515 |
測定してみた感じでは体感できる遅延は一切なく、タイム的にも十分早く反応できていました。なので反応速度が求められるFPSのようなゲームでも問題なく使用することが出来ます。
念のためポーリングレート別にも計測してみましたが大きな違いは無かったため、ポーリングレートはクリック反応速度には影響は無いのかもしれません。あったとしてもほとんど分からないレベルです。
スリープ復帰等による遅延もありませんでした。
ゲームでの使用感
次はゲームでの使用感を確認します。
マウスの持ち方との相性
※私の手のサイズは中指の先端から手首までで約18cmと標準的サイズです。手のサイズによっても使用感に違いが出るので、その点はご了承いただければと思います。
持ち方としてはかぶせ持ち、つかみ持ち、つまみ持ちで確認してみました。
かぶせ持ち
十分使いやすいです。
左右対称なので手のひら全体がフィットするという感覚は無いですが、接地してほしい所は接地するといった感じです。指を伸ばした状態でも違和感なく、手のひらも後部部分は程よく接地するので、そこそこ安定したかぶせ持ちが出来る印象です。
なので左右対称派のかぶせ持ちと言う場合はV2よりも満足の行くグリップ感になると思いますが、やはり基本的にはDeathAdderのような左右非対称形状のマウスを使うのが良い印象です。
つかみ持ち
とても使いやすいと思います。
極端に高くない表面後部と両サイドの窪みの位置的に、持った時に自然とつかみ持ちになるというよりは、しっかりと手のひら後部に引き付けて安定したつかみ持ちになると言ったような形状をしていると思います。
V2と比べると、やはり握りこんだ時の手のひら後部のフィット感がかなり違います。V2よりも後部がしっかり高めなので強く手のひら後部に接地するため、V2と比べて安定感のあるつかみ持ちが出来るようになっています。しかしV2の平たい形状が好きだった人にとっては量産型つかみ持ちマウスと同じに感じてしまうかもしれません。まぁ人気だから量産型なわけですが。
また両サイドの形状はV2と比べてかなり握りやすくなっていると感じました。V2は窪みが深めなので小指がやや窮屈に感じられ、薬指も少し収まりが悪く感じられていましたが、V3ではその点がかなり抑えられています。V2では小指で後部に引き付けるようなグリップの仕方になっていましたが、V3では小指と薬指でしっかり引き付けることが出来るので、つかみ持ちとして保持しやすいように感じました。
なのでV2を使っていた人からすると、単純に上面の形状が気に入るかどうかで別れるかなといった印象です。個人的には圧倒的にV3が好みでした。
つまみ持ち
とても扱いやすいと思います。
指の収まりが良く違和感の少ないつまみ持ちが出来ます。両サイドの窪みが浅い分指の位置が決まりにくいですが、小指の窮屈感が少なく指の操作がしやすい印象でした。
V2と比べると、一番大きな違いとしてはやはり両サイドの形状です。V3はV2に比べて溝が浅い分指の収まりが悪く、幅も広く感じるため直感的なグリップ感としてはV2のほうが良いように感じられました。しかし実際に使ってみると操作感はV3のほうが良く、細かい操作や一定方向のスムーズな操作もしやすいように感じられました。要因としては重さやソールも関係しているかと思いますが、形状の違いの恩恵もかなり受けているように思います。
グリップ感はV2と結構違いがあるため、同じと思ってV2から乗り換えるというのは危険です。とは言えとても扱いやすく、個人的にはV2よりもV3のほうが好きでした。
形状や持ち方以外の使用感の補足
表面加工
形状や持ち方以外の使用感として、まず表面加工はV2よりも滑りにくく保持しやすく感じられました。
私の場合つまみ持ちなので指だけでマウスを保持しますが、V2は使い始めはやや滑りやすく感じられます。その点V3も多少滑る感覚はあるもののV2と比べるとしっかりグリップ力が増していることが分かりました。
形状的な部分もある程度影響していると思いますが、かなり激しい操作でも扱いやすいと感じました。
重量
重量はV3が55.2g(ホワイト)でV2が約58gなのでほとんど変わりませんが、実際2つを交互に使ってみるとかなり差が感じられます。
やはり軽いV3のほうが操作がし易く、素早くマウスを操作することが出来たと思います。
とはいえこの重量の差ではV2から買い替えるほどの魅力は感じられません。
ソール
ソールは大型のものに変更されていますが、沈み込み、基本的な滑りやすさともにしっかり抵抗が少なくなっておりかなりスムーズな操作がし易くなっていると感じました。
ある程度グリップや沈み込みが欲しい人にとってはデメリットになるかと思いますが、基本的にはほとんどの人にとってプラスなのではないかと思います。
またソールの滑りやすさはマウスパッドによっても変わるため、必ずしも滑りやすくなるとは言えない点はご注意ください。
4K・8Kポーリングレート
1KHzと4K・8KHzをそれぞれ比較してみたところ、やはり明確な差はありませんでしたが視点移動時に僅かに画面が滑らかに移動していることが分かりました。フルオート武器を撃ちながら視点移動するとリコイルで画面のブレが発生しますが、1KHzに比べて2KHz以上のほうがブレが少ないように感じられる見え方と言った印象を受けました。
ApexLegendsの場合ポーリングレートは2KHzまでしか対応していなかったはずですが、案外8Kでも問題なく使えていました。内部的には2KHzになっているのかもしれないですね。
ポーリングレートを上げることでFPSが極端に下がるということも無く、基本問題なく使えていました。
正直めちゃくちゃ大きな恩恵があるわけでもないので高ポーリングレートにこだわる必要は感じられませんが、まぁ高いに越したことはないのでこのマウスを使うときは2KHz以上に設定しておいても損は無さそうです。
まとめ
V2から進化したというよりは最近のトレンドに合わせたといった感じのマウスだったと思います。
形状はV2と結構違うため相性は人それぞれ分かれますが、表面加工やソール、高ポーリングレートなど形状以外の部分はしっかりアップグレードされていると感じました。
そういったところでV2から乗り換えるべきかと言うと、やはり形状が結構違うためどっちの形状が好きかで分かれる印象です。
特にそれはつかみ持ちに言えることで、V2は平べったい形状をしているためその形状が好きな人はV3は選択肢に入らないです。V3のようなある程度上面後部の高さがしっかりあるタイプが好きという人はV2よりも扱いやすくなるため乗り換えるメリットは十分あります。
つまみ持ちは個人的にはV3のほうが小指の窮屈感が少なく違和感のないグリップが出来、軽さやソールの滑りやすさから操作感が良くなっているため乗り換えても損は無いと思います。しかし決して安いマウスでも無いため、コストを考えるとそれほど大きなメリットは得られないとも感じられるため無理して乗り換えなくてもいいかなと個人的には感じます。
表面加工やソール、高ポーリングレートなど部分的にはアップグレードされているため良いのですが、やはりみんなが求めているものは軽量化だったと思うので、V4ではしっかり軽量化されていると嬉しいです。またV4ではV3の形状を引き継ぐのかどうかによっても使い手が結構変わってしまうと思うので気になるところです。
・・・いやMiniは?
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