当記事ではRazer(レーザー、レイザー)のゲーミングヘッドセット「Moray」をレビューしていきます。
提供:MSY株式会社
特徴
- 人間工学に基づき長時間の快適さを追求して作られており、一日中のストリーミングまたはゲームプレイに最適なインイヤーモニター
- 歯切れの良い滑らかな高音域を実現するバランスドアーマチュアドライバー、リッチで深みのある重低音を実現するダイナミックドライバーを搭載したハイブリッドデュアルドライバー音響設計
- ハイブリッドデュアルドライバーの音響設計と疲れを感じさせない専門的な調整機能により、一日中快適にオーディオを体験できる
- 外耳道に快適にフィットするエルゴノミック形状により、-36dBまでのノイズを遮断しすべての雑音をシャットアウト
- 取り外し可能な OFC MMCX ワイヤーと柔軟なメモリループチューブを採用
- 3つの大きさの2 種類のイヤーチップと持ち運びに便利な防滴キャリーケースも付属
パッケージ内容
梱包状態
パッケージ内容
イヤホン本体、カラビナ、シリコン製イヤーチップ(S,M,L)、メモリーフォームイヤーチップ(S,M,L)、ファスナー付き防滴レザーポーチ、ステッカー、取扱説明書。
スペック
接続方法 | 有線接続(3.5mm4極) | |
---|---|---|
イヤホン | タイプ | カナル型(密閉型)、耳掛けタイプ |
ドライバー | ハイブリッド型 (DD型、BA型) |
|
周波数 | 20~24000Hz | |
インピーダンス | 32Ω(1kHz) | |
感度 | 106dB | |
マイク | 極性パターン | – |
周波数 | – | |
感度 | – | |
ケーブル | タイプ | 取り外し可能なYタイプMMCXケーブル (L型金メッキ3極ミニプラグ) |
長さ | 約1.6m | |
重量 | 31.1g(ケーブル含む) | |
付属イヤーピース | シリコン製イヤーチップ(S,M,L) メモリーフォームイヤーチップ(S,M,L) |
外観・仕様
デザイン
全体的に黒一色でツルツルとした光沢のある表面をしており、高級感がありますが指紋が目立つ印象。
形状はやや大きめでイカツイ感じで、結構存在感があります。派手な色使いではないですが耳に装着すると少し目立つかもしれません。
イヤホン本体裏面とケーブルににL/Rの文字が描かれているので、どちらか間違える心配はありません。
イヤーピース(イヤーチップ)
イヤーピースはシリコン製とメモリーフォームがあります。当初ではメモリーフォーム(M)が装着されています。
ノズルの直径は以下。
イヤホン | ノズルの直径 |
---|---|
Razer Moray | 4.9mm |
Razer Hammerhead Duo | 5.7mm |
Razer Hammerhead Duo Console | 5.8mm |
Razer Hammerhead Pro V2 | 5.8mm |
SHURE SE215 Special Edition | 3.2mm |
Sennheiser IE40 PRO | 5.5mm |
ノズルの直径はカナル型(密閉型)で一番見るタイプですが、比較的直径は小さめのようでした。なのでノズルの直径が大きいイヤーピースだと上手くはまらないかもしれません。
ちなみにRazer Hammerheadシリーズで使われているイヤーピースは嵌りました。
ケーブル
ケーブルはシリコン素材のべた付きの少ないサラサラとしたケーブルです。とぐろ状に巻かれたケーブルで中々頑丈そうです。
耳に掛ける部分は被覆されておりワイヤーのように硬いケーブルになっています。形状記憶はしないタイプで曲げても元に戻ります。被覆の無い分岐部分は柔らかくクセの無いケーブル。合流部分はより巻きが強くなり頑丈なケーブルといった感じです。端子部分は3極3.5mmL字。
実測のケーブル全体の長さは約1.7m、分岐部分は約50cmほど。
リケーブル対応でコネクターはMMCXという規格。
重量
実測重量はケーブル込みで31.1gでした。
やや重め。
装着感
「Razer Moray」は形状が特殊で、耳の溝にフィットするエルゴノミック形状です。なので装着する角度や位置がしっかり固定されます。ケーブルも曲げて形を変えらえるわけでもないので、必ず耳に掛けて使用する必要があります。ちなみに私はこの耳に掛けるタイプが大嫌いです。しかしそのような私でも「Razer Moray」は耳に掛けるタイプの中では比較的使いやすいかなと感じました。
耳に掛けて使用するケーブルでよく見かけるタイプは形状を変えられるワイヤーで、耳に装着する際に自分の耳の形に合わせて曲げて装着する物が多い印象でした。私はその装着時に毎度ワイヤーを自分の耳に調節するのが煩わしく、眼鏡のように耳に触れている感覚もあまり好きではありませんでした。しかし「Razer Moray」はワイヤー部分の形は固定なので、向きを合わせて引っ掛けるだけで良いので装着は比較的楽でした。耳に引っ掛ける感覚はやはり苦手ですが。
また耳の輪郭にフィットする感じもかなりしっかりしているもので、他の耳掛けタイプと比べてもフィット感は悪くないように感じました。向きが正確に決まりしっかり固定されるので装着するたびにフィット感に違いが出づらく、ノズルの耳穴に入る深さのギャップも少ない印象でした。しっかり固定されるので密閉感も強く、外音がとても静かです。コンセプト通り周囲のノイズはかなり遮断されている印象だったので、周囲の音を気にしなくてもいいようにしたい人には向いていると思います。そして周囲の音が入ってこないということは恐らく音漏れも少ないんじゃないかと思います。
なので私個人としては耳掛けタイプは苦手なので相性は良くないですが、耳掛けタイプが好きな人にとってはフィット感、密閉感ともに優秀なのでかなり向いていると思いました。ただやっぱりインナーイヤー型(開放型)と比べると圧迫感が強く耳が疲れやすい。
音質(音の傾向)
実際に音楽を聴いてみて音の明瞭感や迫力や臨場感などの音質、低音寄りや高音寄りといった音の傾向を確認しています。
※テスト環境:「Creative Sound BlasterX G6(外付けサウンドカード)」に接続
音の傾向
初めて聞いた瞬間から感じたのは超ドフラットといった感じの音ということです。低音が強くて迫力があるとか中音が強くて空間表現が強いとか高音が強くて明瞭感があるとかが一切なく、よく言えば原音に近い音、悪く言えばメリハリの無い音といった感じです。音がとにかく平坦で、低音が強すぎて響いてしまったり高音が強すぎてつんざくような音もなく、まさにコンセプト通り聞いてて疲れない音です。音が平坦なので恐らくイコライザー等で音の調整がしやすく、恐らくこういった音がまさにインイヤーモニターの音なんだと思います。なのでインイヤーモニターの目的である曲作りなどでは音を合わせやすく向いているんだと思います。またコンセプト通り聞き疲れはたしかにしにくそうではあるので、長時間のゲームプレイや配信にも向いているとは思います。
しかしシンプルに音楽や映画鑑賞などで使うという場合にはそのままでは音が安っぽく、満足できる音質ではないのは間違いないです。満足の行く音質にするにはイコライザーが必須で、イコライザーを使わない人にとってはかなり期待を裏切る結果になるのではないかと思います。ただ逆に言えば音がフラットなのでイコライザーの調整がし易く、好みの音を作りやすいということにもなると思います。なので音楽や映画、ゲームなどの用途に合わせてしっかりイコライザーで調整できる人にとっては使いやすいのかもしれないです。
ちなみに「Razer Hammerhead Duo Console」と「Razer Hammerhead Pro V2」と比べるといい音かなと思います。「Razer Hammerhead Duo Console」はかなり高音寄り、「Razer Hammerhead Pro V2」はかなり低音寄りと極端ですが、「Razer Moray」はフラットなりにもドンシャリ気味なので音が極端に悪いわけではなく、Razerのイヤホンの中では音質は良い方でした。しかし他メーカー含めた同価格帯のイヤホンと比較するともっと音質の良いものは沢山あるだろうと思います。実際「SHURE SE215 Special Edition」や「Sennheiser IE40 PRO」のほうが自分的には好みの音質です。なのでRazerイヤホンの中で良い音質のものを選ぶとなれば「Razer Moray」になるかと思います。
イコライザーで調整後
イコライザーで自分好みに調整してみたところ、中々いい音になったように感じました。少なくとも普段使っているイヤホンよりは綺麗な音が出ていた印象です。なのでチューニング自体は音楽などには合わせていないのかもしれませんが、性能面としては普通に良いのかもしれません。イコライザー次第で化ける可能性はありそうです。
おすすめのイコライザー設定は下のほうで説明します。
音質(音の傾向)まとめ
音質からひとまず言えることは、自分で使用用途に合わせてイコライザーで調整できる人向けかなと思います。イコライザー無しでそのまま音楽や映画鑑賞に使いたい人には向いていないと思います。音がフラットで癖が少ないので、曲作りなどを行う人にも向いているとは思います。
ただコンセプトにある疲れにくさを求めて選ぶのはどうだろうと思います。ぶっちゃけどんな音であろうと長時間聞いていれば疲れてくるし、どんな音が苦手かは人に寄る部分でもあるのでそこまで変わらないんじゃないかと思います。それこそイコライザーで疲れない音にしてしまえばいいわけだし。しかし密閉感という点はたしかに優れており周囲の音に気が散るということが少ないとは思うので、そこを含めて集中しやすさを求めるのであればありかと思います。
といった感じで音質だけ見ればターゲットは限定的で、一般層向けでは無いかなと言った印象です。ここまであまり良い言い方はしていませんが別にイコライザー無しでも使えないレベルではないので、後は装着感などで自分との相性を見ながらすり合わせて行く必要があるといった感じです。
定位感(音の方向性、音の距離)
ゲームの足音や銃声などの捉えやすさ、方向性、聞こえ始める距離などを確認しました。
※テスト環境:「Creative Sound BlasterX G6(外付けサウンドカード)」に接続
Apex Legendsの場合
- 足音の強さ:△
- 足音の聞こえ始める距離:△
- 方向性:△
- 距離感:△
かなり音が籠って聴こえ、全ての音が反響してしまい足音に被ってしまっていました。
それでいて何故か足音はそれほど大きくなく、かなり聞き取りにくい印象でした。
イコライザー必須。
Valorantの場合
- 足音の強さ:◎
- 足音の聞こえ始める距離:〇
- 方向性:△
- 距離感:〇
足音自体の強さはしっかりしているため気付くのが速く、少し離れた敵の足音も捉えやすい印象でした。銃声が鳴っているときも足音を捉えることが出来、不意打ちが少なった印象です。
しかし足音が強い分足音が広範囲に聞こえており、方向や位置がややぼんやりしてしまっているようにも感じました。足音を聞き逃すことはないが、足音だけでの正確な位置の特定が難しいといった感じです。
恐らく低音~中音が強すぎるか高音が足りていないので、その辺を調整するとさらに捉えやすくなるかなと思います。
定位感まとめ
イコライザーで調整する前は、正直聞き取りにくい部類に感じられました。
しかしイコライザー調整後は問題なく足音が捉えられるくらいにはなりました。なのでやはり何をするにしてもイコライザーで調整する必要がありそうです。
おすすめイコライザー設定は下のほうで説明します。
おすすめのイコライザー設定
ゲームの音や音楽は使用しているイヤホンによって音が変わります。
そのためイコライザー設定は使用しているイヤホンに合わせてイコライザー設定を調節する必要があります。
FPS向け
出来るだけ銃声が響かない程度に足音を強調するように調整しました。
Apex Legends、Valorant、CS:GO向けイコライザー設定
普段使い、音楽/映画鑑賞向け
低音はあまりいじらず、中音を下げて籠った音を減らし、高音を上げて明瞭感を上げるように調整しました。
まとめ
音楽や映画鑑賞、FPSゲームなど何をするにしてもイコライザーでの調整が必要で、原音のまま普段使いとして使いたいという人には向いていません。イコライザーを用いればどのような用途にも合わせることが出来、音質もそこそこ良くなります。しかしイコライザーだけで綺麗な音を作るのは難しく、音質面だけ見るとイマイチかなと感じるのが正直なところです。
ただ装着感という点では耳掛けタイプの中ではフィット感が強くしっかり密着するため、外音や音漏れが少ないです。フック部分は形が固定で装着時に毎回形を作る必要が無いため、比較的耳掛けタイプの中では装着がし易いです。装着感は唯一無二なので、ココがいかに自分にマッチするかがこのイヤホンを選択するかの一番の決め手になるかと思います。
なのでこのイヤホンが向いているという人は、イコライザーである程度調整が出来て装着感が合いそうという人といった感じで、人を選ぶイヤホンかなと思いました。強いて言えばクリエイター向け。
- イコライザーの調整がしやすく、イコライザーを使えば様々な用途に使える
- 耳掛けタイプで密閉感が強く、外音や音漏れが少ない
- 原音では音にメリハリが無く、イコライザーで調整しないと物足りなさを感じる
- 装着する向きが決まっており耳掛け部分の形を変えることが出来ないので、必ず耳に掛ける必要がある
⇓その他のゲーミングイヤホンのレビュー記事は以下で確認できます⇓
⇓おすすめのゲーミングイヤホンと選び方を以下で解説しています⇓