当記事ではRazer(レーザー、レイザー)のゲーミングヘッドセット「BlackShark V2 HyperSpeed」をレビューしていきます。
提供:MSY株式会社
⇓動画でも確認できます⇓
特徴
- 280gの超軽量デザインで、疲れにくくゲームに集中しやすい
- 超ソフトなメモリーフォームを使用した遮音性の高いイヤーカップ
- 幅広い周波数のサウンドをカバーすることで音声を細部まで捉えられる「RazerHyperClearスーパーワイドバンドマイク」
- ドライバーを高、中、低の音域に合わせて 3つの部分に分割し、より明るくクリアな音質を届けながら、高音域をさらに豊かに、低音域をさらにパワフルに表現する「Razer TriForce チタン50mmドライバー」
- 遅延のない高速ワイヤレス接続「Razer HyperSpeed Wireless 技術」
- 70時間連続使用可能(15分の充電で6時間使用可能)
- 2.4 GHzとBluetoothの接続が可能
パッケージ内容
梱包状態
パッケージ内容
ヘッドセット本体、レシーバー、USB-C充電ケーブル、延長ケーブル、ステッカー、取扱説明書等。
スペック
接続方法 | ワイヤレス接続(USB)、有線接続(USB) | |
---|---|---|
サラウンド | 7.1chバーチャルサラウンド対応 | |
ヘッドホン | タイプ | 密閉型 |
ドライバ | Razer TriForce チタン 50mm | |
周波数 | 12 ~ 28000Hz | |
インピーダンス(抵抗値) | 32Ω(1kHz) | |
感度 | 100 dBSPL / mW @ 1 kHz by HATS | |
マイク | タイプ | 折り曲げ式 |
極性パターン | カーディオイド(単一指向性) | |
周波数 | 100 ~ 10000Hz | |
感度 | -42 ± 3 dBV / PA, 1 kHz | |
ケーブル | タイプ | 布製着脱式充電ケーブル(USB-C to USB-A) |
長さ | 1.8m | |
重量 | 280g | |
バッテリー | 寿命 | 70時間 |
充電時間 | 15分の充電で6時間 | |
ソフトウェア | Razer Synapse |
外観・形状
デザイン
デザインは全体的に黒一色で、派手さが無く良い意味でRazerっぽさが少ないデザイン。外観と質感は「V2 X」とほぼ同じ感じです。
「V2 Pro」と比べると合皮部分がProは皮感が強いタイプですが、HyperSpeedは人工皮革っぽいしっとりとした質感。イヤーカップのプラスチック部分はProはサラサラとしたマットなタイプですが、HyperSpeedは少しザラツキがあるタイプです。
Proはとにかく品質に拘ったデザインと言った印象でしたが、HyperSpeedは品質はある程度落としてコストを抑えたデザインと言った印象です。
ヘッドバンド
ヘッドバンドのクッションは合皮タイプで、かなりしっとりした柔らかい肌触りの質感です。
ヘッドバンド全体をカバーするクッションなので頭に局部的に触れるということなく、負担がバランスよく分散されます。
クッション性としては、厚みがしっかりありもちもちとしたクッションをしているのでしっかりとしたクッション性があります。
イヤーパッド
イヤーパッドは布と合皮が合わさったタイプ。外側と内側はヘッドバンドと同じ質感の合皮で、頭に触れる面はツルツルとザラザラが合わさったような肌触りの布になっています。
布は肌触りの良さよりも速乾重視の生地と言った印象で、クッションは厚みがしっかりありフカフカとしています。
イヤーパッドのサイズは以下。
外径 | 縦 | 10.8cm |
---|---|---|
横 | 8.5cm | |
内径 | 縦 | 6.8cm |
横 | 4.5cm |
空洞の大きさはそこそこ広めで、私は耳がすっぽり入り込むくらいのサイズ感でした。よっぽど耳が大きいタイプではなければ耳がイヤーパッドの重なって圧迫されるということは無いのではないかと思います。
長さ調節
長さ調節はBlackSharkシリーズお馴染みのイヤーカップを引っ張ることで調節するタイプ。
ロックはかからないタイプで引っ張るとスーっと伸びます。伸び縮みはそこそこ軽めでスムーズに伸縮させることが出来ます。ロックがかからないのでしっかり固定されるわけではないですが、装着時に長さが変わってしまうほどの緩さではありません。
角度調整
角度調節は垂直方向のみ可能で、角度は-10~40°程といった具合。ロックがかからないタイプで基本グラグラしています。装着すると自動的に角度が調整される感じです。
水平方向の調整は出来ませんがアームが細いのである程度の遊びはあります。
マイク
マイクは「V2 Pro」と同じ性能のもののようですが、着脱はできず折り曲げのみ可能です。
アームはしっかりとした柔軟性があり針金のように位置調節ができるので、曲げて口元に持ってくることができます。
指向性はカーディオイド(単一指向性)なので、口元からの音だけを拾いやすく周囲の音は拾いにくいタイプになっています。
先端には風防のスポンジが付いており、外すことも出来ます。
充電ケーブル
充電ケーブルは布タイプの着脱式USB-C to USB-A充電ケーブルで、実測の長さは1.8m程と必要十分な長さがあります。ヘッドセット側の接続端子は左耳側のイヤーカップにあります。
ワイヤレスヘッドセットは有線として使えないものがかなり多いですが、HyperSpeedは充電ケーブルと接続すると有線としても使うことが出来ます。これによりレシーバーに繋いでいたケーブルを充電切れのタイミングでそのまま繋げて使うということが出来ます。単純に有線として使いたいという人もいると思うので、この改良点はかなりありがたいですね。
レシーバー
レシーバーは充電ケーブルと接続して使用します。
端子はUSB-Cでケーブル側がオス、レシーバー側がメスなので、PCに直接接続して使うということは出来ません。
音量調節ホイール
左耳側イヤーカップに音量調節ができるダイヤルが備わっています。
PCと連動しているタイプで、ダイヤルを回すことでPC側の音量が調整されます。
ボタン類
左耳側イヤーカップにはミュートボタンと電源ボタンが備わっています。
右耳側イヤーカップにはスマートスイッチ/EQボタンが備わっています。スマートスイッチ/EQボタンではEQ切替、ペアリング、2.4 GHz/Bluetoothの切替などができます。
※電源ON時にBluetoothモード(LED青点滅)になっていて接続できないことがあるため、その際はスマートスイッチを2回押すことで2.4 GHz接続することが出来ます。
重量(軽さ)
実測重量は280g程とワイヤレスヘッドセットの中では比較的軽いといった感じです。めちゃくちゃ軽いとは言えませんが、実用上長時間のゲームプレイでも気になる重量ではないと思います。
バッテリー寿命
バッテリー寿命は「V2 Pro」と同様に最大70時間。これまでのワイヤレスヘッドセットのバッテリー寿命は30~50時間とかなので、かなり長めです。
70時間あれば毎日充電する必要が無く、かなり手間を減らすことが出来ます。また充電時間は15分の充電で6時間。
ソフトウェア(Razer Synapse)
サウンド
オーディオイコライザー
イコライザーとは音の周波数ごとに強弱をつけて音に変化を付けることができる機能のことです。これにより音質に満足していない場合より良い音にしたり、FPSゲームで足音が聞き取れない場合でも聞き取りやすくしたりすることが出来ます。
プリセットはゲーム/映画/音楽の3つとカスタマイズ用のカスタムが1つだけ用意されています。カスタムが1つしか作れないのはやや不便ですが、ゲーム/映画/音楽をカスタマイズすることもできます。
おすすめのイコライザーは下のほうで説明します。
THX SPATIAL AUDIO
7.1chサラウンドサウンド機能。ONにすることで迫力や臨場感、空間表現を強めることが出来ます。
使用感は下のほうで説明します。
ゲームプロファイル
ゲームごとのイコライザーの割り当てることができ、ゲーム起動時に自動的にそのイコライザーに割り当てられる。
音量
ヘッドホン出力のON/OFF、ボリューム調整が出来る。
強化
着信拒否
2.4GHzでのゲームプレイ時にBluetooth経由からの着信をブロックする。
※ワイヤレスドングルで接続されており、モバイルデバイスとペアリングされている場合のみ有効
音の正規化
爆発音など急激な音量変化を回避するための機能。
低音ブースト
低音を強める。
音声の明瞭化
コミュニケーションアプリケーションからの音声の質を向上する。
マイク
マイクロフォン
マイクのON/OFF、マイク音量の調整が出来る。
強化
「ボリュームの正規化」「音声の明瞭化」「周辺音の遮断」のON/OFFが可能。
それぞれの違いは下のほうで説明します。
マイクイコライザー
自分のマイク音声のカスタマイズが出来ます。
マイクモニタリング(サイドトーン)
ヘッドセットで直接マイクの音声を聞くことが出来る。
サイドトーンのON/OFF、サイドトーン音量の調整ができます。
パワー
インジケーター
ドングルのインジケーターに表示する項目。
パワーセーブ
スリープモードのON/OFF、スリープモードへ移行するまでの時間の設定が出来ます。
装着感
サイズ感的には一番縮めた状態で極小、一番伸ばした状態で特大といった感じで、頭の小さい人から大きい人まで幅広く使えるサイズ感でした。BlackSharkシリーズ全般、調整幅が広く誰でも使いやすい印象。
側圧としては少し緩めでどちらかといえばゆったりとした装着感。側圧のみでヘッドセットの重さを支える感じではなく、ずり落ちてくる分は頭で支える感じになります。側圧が強くないため重さは頭で支える感覚が強いですが重さがそこまでないため頭頂部に掛かる負担はそこまで大きくなく、ヘッドバンドとイヤーパッドの重さの掛かり方の比率はヘッドバンド:5、イヤーパッド:5といった感じです(個人差有り)。
イヤークッションは厚みもしっかりありフカフカとしたクッションなので圧迫感は強くありませんが、「V2 Pro」のイヤークッションと比べると合皮が使われている部分がある分、少し硬さを感じます。肌触りとしてはザラザラツルツルとした生地を使用しているため、肌触りが優しいとまでは言えません。しかしその分通気性の面はよさそうです。長時間装着していてもそこまで蒸れるという感覚はありませんでした。
重量に関しても280gと軽いとは言えないですが重くもない重量なので実用上全く問題なく使えていました。かなり激しく動くとか頭を振るとかしなければズレたり外れたりすることは無いと思います。
しかしやはり「V2 Pro」と比べると装着感は劣るかなと感じます。「V2 Pro」はヘッドバンドとイヤークッションがメッシュ素材で、「HyperSpeed」よりも肌触りや柔らかく通気性に優れます。「V2 Pro」のほうが軽いですが、クッションのおかげか軽く感じられるほどなので、個人的には装着感は「V2 Pro」のほうが好みです。とはいえどちらも装着感は優れる部類かと思います。
音質(音の傾向)
実際に音楽を聴いてみて音の明瞭感や迫力や臨場感などの音質、低音寄りや高音寄りといった音の傾向を確認しています。
※ワイヤレス接続、イコライザー:フラット
基本は低音寄りといった感じですが、極端に低音が強いという感じは無く中音も高音も程よく出ているように感じられます。中音が控えめで籠ったような聴こえ方も少なく、違和感の少ない聴きやすい音質かと思います。
ただ音のメリハリが弱いので高音質感は無く、あくまで普通に聴けるレベルといった感じです。音質に拘りたい場合はイコライザー設定は必須です。
また有線接続とワイヤレス接続では若干音に違いがあり、ワイヤレス接続は有線接続に比べて若干籠りが強くザラつきが強く感じられました。極端に違うという印象はありませんが、どちらかと言えば有線接続のほうが音がクリアです。
THX SPATIAL AUDIO
ステレオから極端に音の傾向が変わらない程度に、音の空間表現と迫力や臨場感を増したといったような音になります。
こういったサラウンド機能は中音を極端に強めて空間表現を強調するあまりに音が悪くなってしまっている物が結構ありますが、「THX SPATIAL AUDIO」はステレオから極端な音の傾向の変化が無く聴きやすいです。
若干中音が強まりますが、迫力重視の音楽や映画鑑賞などには相性が良さそうです。しかし空間表現や迫力を必要としない歌や動画とは籠りが強くなって相性が良くないように感じました。
1つ不満点があるとすればステレオとの音量差が大きすぎる点です。どういう訳だかこの手のサラウンド機能はステレオから極端に音量が上がってしまうものが多いので、ここだけ改善してほしいと思います。
定位感(音の方向性、音の距離)
ゲームの足音や銃声などの捉えやすさ、方向性、聞こえ始める距離などを確認しました。
※ワイヤレス接続、イコライザー:フラット
Apex Legendsの場合
ステレオ
- 足音の強さ:◎
- 足音の聞こえ始める距離:〇
- 方向性:△
- 距離感:△
基本問題なく足音は聞こえるのですが、方向と距離感がぼんやりしていました。全体的に距離が近く聞こえ、思ったよりも遠いということが多々ありました。
慣れれば問題なく聞き取れるようになりますが、もう少し低~中音を抑えるか高音を上げるかして明瞭にすればより聞き取りやすくなる印象でした。
Apex特有のノーオーディオは健在。
THX SPATIAL AUDIO
- 足音の強さ:◎
- 足音の聞こえ始める距離:〇
- 方向性:×
- 距離感:△
サラウンドONにすることで足音がさらに強調されますが、方向性がより曖昧になります。前にいるはずの敵が後ろから聞こえたりとかなり惑わされます。
FPSではOFF推奨。
Apex特有のノーオーディオも健在。
VALORANTの場合
ステレオ
- 足音の聞こえ始める距離:〇
- 足音の聞こえ始める距離:〇
- 方向性:〇
- 距離感:〇
特別聞き取りやすいとか聞き取りにくいとかが無く、普通に聞きとれるといった感じ。
銃声が重なるとほぼ近くの足音も聞こえません。
若干方向と距離感がぼんやりしているので、中音~高音を強めるとより明確に捉えられるようになるかなと感じました。
THX SPATIAL AUDIO
- 足音の強さ:〇
- 足音の聞こえ始める距離:〇
- 方向性:△
- 距離感:△
Apexと同じく、足音自体は強くなりますが全ての音の響きが強くなり方向性と距離感が捉えにくくなっていました。
足音が聞き取りやすくなる以上に他の音が邪魔して聞き取りにくくなるので、OFFが良いと思います。
補足
ワイヤレス接続と有線接続の違い
音質はワイヤレス接続と有線接続で結構違いがあり、有線接続のほうが明瞭です。そのためワイヤレス接続だと有線接続に比べて籠りが強くなり、足音が聞き取りにくくなります。
なので有線接続にすれば上記よりも多少は足音が聞き取りやすくなります。
定位感まとめ
定位感は良くも悪くも普通かなと感じました。足音自体は大きく捉えやすいですが、方向や距離感が結構曖昧で位置を正確に捉えにくい場面が多いです。慣れれば問題ないレベルで聞き取れるようにはなりますが、それでも明確には捉えにくいと感じました。
ただイコライザーを設定することで不鮮明さはかなり改善されかなり聴き取りやすくなったので、しっかり調整すれば全く問題なくFPSでも使うことが出来ます。聞き取りやすくなったイコライザーは下のほうで紹介します。
マイク音質
マイク音質はとても良いです。「V2 Pro」と同じ性能のものが使われているだけあって、「V2 Pro」と同等のマイク音質です。自分の声と比べて少し低音が強い音になって聴こえますが、違和感が少ない自然な音で途切れることなく明瞭に聞き取ることが出来ます。ノイズもほとんどなく、ワイヤレスとは思えないほど聴き取りやすいマイク音質だと思います。
またキーボードの打鍵音や吐息などの環境音は多少は入りますが、露骨に目立つという印象はありません。ソフトウェア機能の周辺音の遮断という機能を使うことでかなりそれらの音が小さくすることができます。ボイスゲートは自分の声もおかしくなるのであまり向かないと思います。
マイク音質が良くノイズなども少ないので、個別にマイクを買うほどではないが出来るだけ拘りたいという人にはかなり満足できるものになっていると思います。
おすすめのイコライザー設定
ゲームの音や音楽は使用しているヘッドセットによって音が変わります。
そのためイコライザー設定は使用しているヘッドセットに合わせてイコライザー設定を調節する必要があります。
FPS向け
「HyperSpeed」は足音自体は大きく捉えやすいですが、音がぼんやりしており方向と距離感が掴みにくいです。そのため足音を大きくすることよりも、方向や距離感をつかみやすくするために音の籠りを減らし明瞭感を上げる調整をしてみました。
割と適当ですが案外良い感じになったので紹介します。
音楽/映画鑑賞向け
基本は「V2 Pro」と同じイコライザー設定。低音と高音を上げ音にメリハリをつけ、中音を下げて籠りを減らしています。
無線の場合は右のイコライザーのほうがスッキリしていいかもしれません。
まとめ
全体的にかなり不満点の少ないヘッドセットと言った印象でした。音質はまずまずですがイコライザーを使えばかなり良い音質にすることが出来、装着感はBlackSharkシリーズの良さをしっかり受け継いでおり、何よりマイク音質は「V2 Pro」同等レベルに優れています。
「V2 Pro」と比べると価格が低い分しっかりクオリティーは落ちており、特に装着感は「V2 Pro」のほうがクッションが柔らかく肌触りが良くて通気性も優れているように感じられます。もちろん「HyperSpeed」もかなり良い部類ですが、装着感に拘るなら「V2 Pro」のほうが良いです。
といった感じで「HyperSpeed」は「V2 Pro」と同様に、マイクを別途購入せずヘッドセット1つでオーディオ関連を充実させたいという人に向いています。ヘッドセットは装着感が結構重要な要素なので拘る場合は「V2 Pro」がおすすめですが、出来るだけ出費を抑えたいという場合には「HyperSpeed」も装着感は良い部類なのでおすすめできます。
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